テナントが変わる度に必要となるのが原状回復です。テナント側とオーナー側で認識が異なることからトラブルの原因となることもあります。原状回復の真の問題は認識の相違ではなく、必要の無い工事を行うこと、そして、業者側の工事費の過剰な請求です。テナントの有無に関係なく、古くなった部分は直さなければなりません。原状回復はリフォームを行うチャンスと考え、コストダウンを考える必要があります。コストダウンの方法は、余分な工事を行わないこと、業者の選定においては競争原理により価格を抑える方策を考えること、グレードを適切に保つことなどがあります。原状回復は、国土交通省住宅局の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」が参考となり、その内容に沿った工事を行うことが大切です。

必要な工事以外の工事を極力抑える方法

原状回復におけるコストダウンでは、必要な工事以外の工事を極力抑える必要があります。工事を行わなければならない部分は、新たに設置されたり、撤去された部分です。さらに、通常の状態を超える使用により汚れたり、破損した部分も原状回復を行わなければなりません。それ以外の使用による汚れや破損は対象とはなりません。ついでに新しくしようとすると、そこでコストが発生します。設備工事に関しては考え方が異なります。設備機器は一定の間使用することで必ず壊れます。機械の宿命と言ってよく、設備機器は耐用年数が過ぎていれば、交換が必要です。その場合、グレードを上げる必要は無く、従前の性能が維持できればよしと考える必要があります。無駄な工事を極力省き、必要最小限の工事に留めることが、コストダウンにつながります。

業者の見積りを適正な価格に抑える方法

原状回復では、業者の見積りを適正なものとすることにより、コストダウンを図ることが効果的です。公共工事以外の建築工事に適正価格は存在せず、時価があるだけです。時価は業者間の競争により定まります。競争の無い業者の選定は、それだけでコストアップの原因となります。メンテナンスで特定の業者を利用していても、原状回復のコストダウンを図るためには、複数の業者による見積りの競争がどうしても必要です。見積書の内訳を精査することは専門家でも難しいことです。コストダウンは見積書の精査ではなく、あくまでも競争によるのが原則です。仕上げ材や設備機器の仕様の変更もコストアップにつながります。業者は流行の仕上げ材を使い、最新の設備機器を導入する傾向にありますが、その必要はありません。従前の状態に戻す原則を忘れないことが、コストダウンには必要です。